SPACE 創立25周年の軌跡(17) 迦陵伏見

2012-05-21

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1997年、伏見赤池の信号を東へ入ったところの「迦陵伏見」のリニューアルデザインをさせていただきました。

当時は、町中にオシャレな居酒屋が数多く出来ていましたが、まだまだ周辺地域には、そのようなお店は少ない状態でした。以前よりこの地で営業されてきましたが、そろそろ女性客の需要が見込める感触がもてたので、落ち着いた重厚な雰囲気のお店にリニューアルしたいというお話でした。

女性客といっても、女性が連れて行ってほしいお店、言い換えれば、男性が女性を連れて行って、格好がつくお店ということだと考えました。そこで、女性的というよりは男性的に、さびた鉄や荒い土で壁を構成し、ラーチ合板といって、建築の下地につかうパネルを床板としました。おもしろい材料としては、排水溝に使う鋳物の蓋を格子として組み合わせて使いました。荒っぽい材料達ですが、照明にメリハリを付けることにより、それぞれの素材の表情が共鳴し合い、しっとりとした雰囲気が演出できたと思っております。

この後このお店の、外回りと、2Fを含む、再度のリニューアルのデザインもさせていただきました。塀をめぐらせた、料亭としての雰囲気が加わったお店として、今も営業していただいております。ありがたいことです。

杉木源三