SPACE 創立25周年の軌跡(24) フィリップ・オブロン祇園

2012-07-10

2001年、祇園、一力さんの近くの町家に、フレンチレストランのデザインをさせていただきました。大津のフレンチレストランのオーナーシェフで料理の鉄人にも勝利した、フィリップ・オブロンをメインキャラクターとして、様々な仕掛けを盛り込んで計画されたレストランでした。

店名もズバリ『フィリップ・オブロン祇園』

そしてお店のコンセプトは、『格子戸を開ければ、そこはフランスだった』というように、祇園町を歩き、すっかり京都気分に染まったお客様が、格子戸をくぐり抜けたとたんに、フレンチレストランに様変わりする驚きとギャップをねらった空間構成でした。

1Fには待合いをかねたシガーBar、そしてテーブル席、2Fにはパーティーもできるホールとプライベートユーズの個室がありました。町家の中庭を厨房としたため、吹抜けにして、1F、2Fの通路より調理の様子が眺められるようにしました。フィリップの気さくな応対が、驚きや緊張をときほぐして、ちょうど良い気分でお食事ができる、楽しい豊かなお店になったと思います。フランス人独特の感性も話し合いの中で取り入れ、デザインもさることながらコーディネイトの比重の多い仕事でした。

残念ながら今はもう営業されていませんが、最近、このレストランで働いていたシェフの卵たちが一人前となり、ひょんな所でお目にかかるようになりました。いろいろな意味で、影響力のあるお店だったのではないでしょうか。

杉木源三