内と外

2011-01-28

建物は当然ながら、内と外が一体となっているものです。今までいくつかの建物をデザインしましたが、施主が建物に望みをもつ割合は、外側よりも内側についてが圧倒的に大きい。外に関しては、建築法規などわかりにくいことが多いためか、おまかせが多いのです。望みがあったとしても、形を大きく変えるほどのことは少ない。

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これは私に限らず、一般的にある状況ではないでしょうか。ということは、外観(町並み)に多く関与しているのは、施主よりも建築家、デザイナーであると言えます。今や、日本中どこでも、図面さえあればまったく同じ建物を造ることができる時代になりました。だからこそ、その土地固有の環境に合った建物(町並み)を構築する必要があるのではないでしょうか。

特に京都はそれを強く感じます。建築法規や条例の中には、理不尽な部分が少なからずありますが、それも含めて造形するのが我々の仕事です。

建築家やデザイナーの中には、スーパースターが存在します。でも、全てがそうではなく、スーパースターを頂点に、ピラミッド型に我々が存在しています。新しいものを生み出すスーパースターも必要ですが、スタンダードを造り続けるネイティブ建築家、ネイティブデザイナーも重要な役割を担っています。

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むしろ、町並みを構築することに深く関与しているのは、このネイティブスピリットではないでしょうか。新しい、変わった建物をデザインしたいなら、それがその環境に合った土地に建てれば良いし、仕事の場をそこへ移せば良いと思います。京都に限って言えば、このネイティブ同士で暗黙でも良いから、これから先の京都の町並みのデザインの要素を共有していくことができればと思っています。

どうすればできるかまではわかりませんが、良いデザイン要素は、共に使っていけば、それがいずれスタンダードデザインへと変わるのです。
京都在住のクリエーターの皆様、暗黙のネットワークに参加しませんか。

杉木源三