点と面の文化

2010-04-01

私は大学時代を通じて、6年間東京に住んでいた。また京都へ帰ってからも、公私にわたって東京とは関係が深い。京都に生まれ育って、東京に住んで働いて(と言ってもわずかに6年ではあるが)、京都と東京の文化で自分なりに感じたことを、誤解を恐れずに、独断と偏見で分析してみたい。

文化といっても、仕事に関わる人と人とのつながりについてであるが、京都は点で、東京は面の文化と言えるのではないかと思う。

まず、私が京都でデザインの仕事をしていて思うのは、同じ業界の横のつながりがないことである。みんな点として活動をしていて、業界という面になることがない。東京で働いていた頃は、事務所間の横のつながりもあったり、業界というものを肌で感じることができた。

それと同じことは、京都のいろいろな業種でも言える気がする。どちらが良くて、どちらが悪いと言いたいわけではない。京都は各々が点で存在しているけれど、その点を横から見ると、杭のように歴史に根ざして長く伸びている。一方、東京は各業界が面で存在していて、横から見ると時代、世代の面が重なり合って、厚い層を形成している。だから京都の一つの点を探ると、とてつもない歴史に行き当たることがあり、東京の業界の面を探ると、新旧あらゆる情報や人材が豊富である。

最近こんなことを思う。今や、グローバルに日本を発していかなければならない状況のなか、この点と面が結びつけば、潤沢な情報やクリエイティブの層に深い歴史の杭を打ち込むことにより、世界に対して盤石な基礎を作っていけるのではないだろうかと。

杉木源三