SPACE 創立25周年の軌跡(11) 今知気

2012-04-10

1992年、毎日ランチを食べていた、事務所の前の居酒屋のマスターより、もう一軒店を出すので手伝ってほしいと依頼がありました。

ビルの3Fで細長い平面、なぜか床の半分ほどが1m近く上がっていて、天井高が4m近い空間でした。その床、壁、天井がコンクリート打ち放しで、きれいに仕上がっていたので、壁、天井はそのままで、床の高低差でカウンター席とビッグテーブル席の2つの空間構成としました。また、以前、亀甲屋で手伝っていただいた麻谷氏にお願いして、藤のつるの照明オブジェとパラフィンで壁に埋め込むオブジェを作ってもらいました。僕の一押しのデザインとしては、ビッグテーブルの無垢の天板を透明ガラスで支持して、木の柱、梁の空間に、天板が浮いているようにしたのですが、それに気がついた人は数えるほどしかいなかったと思います。

名前の今知気は、マスターと話し合う中で、祇園祭のお囃子のコンコンチキチンからコンチキを抜き出し、今、知っている、気の合った仲間が集う店という意味で、今・知・気を当て字として名付けられました。

杉木源三