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2012年5月アーカイブ

1997年、祇園で長くクラブを経営されていた施主が、場所を烏丸御池近くに移し、業種をお惣菜料理屋に変更して、お得意様の晩ごはんのお店として新装されるデザインをご依頼いただきました。
町家は表層の仕上げ以前に、屋根や構造体の補強・補修が必要となります。
この物件も例に漏れず、その部分に多くの費用がかかりました。
結果、表層のデザインに使える費用はおのずと少なくなります。
そこで、個室に関しては、現状をできるだけ再利用し、カウンター廻りのみ、安価な材料を極力シンプルな納まりにデザインすることにより、空間の緊張感により、上質なグレード感を演出できるようにしました。
平屋であることも幸いし、こぢんまりとした、晩ごはん屋さんにふさわし風情のお店に仕上がったと思います。
残念ながら、2年程前に閉店されましたが、OPEN当初の器に僕の亡き父の趣味の陶器を使っていただいたことが思い出に残っています。



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1997年、伏見赤池の信号を東へ入ったところの「迦陵伏見」のリニューアルデザインをさせていただきました。

当時は、町中にオシャレな居酒屋が数多く出来ていましたが、まだまだ周辺地域には、そのようなお店は少ない状態でした。

以前よりこの地で営業されてきましたが、そろそろ女性客の需要が見込める感触がもてたので、落ち着いた重厚な雰囲気のお店にリニューアルしたいというお話でした。

女性客といっても、女性が連れて行ってほしいお店、言い換えれば、男性が女性を連れて行って、格好がつくお店ということだと考えました。
そこで、女性的というよりは男性的に、さびた鉄や荒い土で壁を構成し、ラーチ合板といって、建築の下地につかうパネルを床板としました。
おもしろい材料としては、排水溝に使う鋳物の蓋を格子として組み合わせて使いました。

荒っぽい材料達ですが、照明にメリハリを付けることにより、それぞれの素材の表情が共鳴し合い、しっとりとした雰囲気が演出できたと思っております。

この後このお店の、外回りと、2Fを含む、再度のリニューアルのデザインもさせていただきました。塀をめぐらせた、料亭としての雰囲気が加わったお店として、今も営業していただいております。
ありがたいことです。



                                    杉木源三



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120514-01.jpg1996年、先斗町の元お茶屋の町家を改装して、「まんざら亭 先斗町」のデザインをさせていただきました。
まんざらグループとしては初めての町家のお店だったと思います。

計画としては、できるだけ現状を残して町家の雰囲気を味わうことができるようにすること、店のイメージコンセプトとしては、国籍はわからないが、アジアのどこかの国の下町の、薄暗い中に地元の人が集う、得体の知れないお店ということでした。

既存の町家には、急な階段、アルミサッシの付いていない木製窓、路地と舞良戸一枚の壁、等々昔のままで残っているところが多く、1階の床は抜いて、土間としましたが、それ以外はできるだけそのまま残しました。

照明器具は山に入り、枯れた枝や藤のつるなどを持ち帰り、僕の手作りとしました。
イス、テーブルなどは海外からの輸入品の中より、藤や鉄製の、イメージとしてはシルクロードを伝って、アジアのどこかに定着したような、そんなものを選んでみました。

京都では名所の先斗町の、その路地の持つ狭さと雑踏に、この得体の知れないお店が妙にマッチしたと今でも思っております。

残念ながら、手作りの照明は経年のため、今ではほとんど残っていません。
玄関の行灯などは、営業中に持ち去られたということでした。




                                    杉木源三



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1994年、軌跡(7)でご紹介した「魚棚」の2階に、甘味カフェ「ふれかんて」のデザインをさせていただきました。

魚棚と同じ経営で、2階の厨房を兼用できるようにデザインしました。
京都には老舗の甘味処はいくつもありますが、それらとはひと味違った、例えて言えば、喫茶店に対してカフェと言えばニュアンスが伝わるでしょうか、そのような少し洋に振った、和のデザインにしています。

ペンダント照明は、また僕の手作りです。
女性は手荷物やコート、バックなど持ち物が多いので、それらがストレスなく置けるように、壁面にフックや荷物スペースを多く作っています。
また、服装がチェックできるように、トイレの外に全身鏡をもうけました。

より女性を意識したデザインのお店でした。




                                    杉木源三




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1994年、油小路の御池を上がったところに、ボナペティという名のBarをデザインさせていただきました。


ボナペティとはフランス語で「召し上がれ」という意味で、当初は簡単な料理もだすバールのような計画でした。その後、純粋なBarとして営業されています。

もともとシャッターのついた物件だったので、昼間はシャッターが閉まり、夜、営業の時に店の全貌が現れます。
そのため、インパクトのある外観を考えました。

錆びさせた異形鉄筋を竹に例えて、竹が集積した壁をデザインし、入口のドアは取手をつけずに、わずかに壁と角度をつけ、手がかりになるようにしました。
Barということですが、外観からは何の店かわからないお店です。

OPEN当初、近くのホテルに泊まっていた、女優の万田久子さんが宝石店と間違えて入ってこられて、それから常連になっていただいたことは逸話となっています。
万田さんの紹介で、撮影で京都に来た俳優や業界人の隠家になったこともうれしいお話です。

もう20年近く、1ミリもデザインを変えずに営業していただいています。
本当にありがたいことです。


                                    杉木源三



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