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2011年3月アーカイブ

ポジティブなリフォーム

昨年から今年にかけて、私の仕事の中で住宅・店舗を含め、リフォームの仕事が増えています。

今の時代を反映した仕事だと思いますが、施主の要望は「古くなったので、とにかく新しくしたい」「イメージを変えた店にしたい」等々から始まり、予算の問題で、全体はリフォームできないが、部分的に考えてほしいということになります。
施主のイメージの中には、できるだけ現状を利用して表層の仕上変更で、計画予算内で仕上たいという気持ちが見て取れます。

デザイナーの立場からすると、全体をさわらせていただけるに越したことはありません。
しかしもう一方では、予算内で施主の満足を得られるリフォームを成し遂げることも、デザイナーの能力が問われるところです。

また、施主はリフォームをネガティブに考えていますが、壁を取り払ったり、柱の位置を変更したりしても、それほど金銭的には負担にならず、効果的なリフォームをすることができます。
それこそがデザイナーを使っていただく意味のあることだと考えます。

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リフォームを終えて、「あの部屋がこんなに変わるとは思わなかった」とか、「お客様に好評です」と言っていただけると、デザイナーの仕事も全て新しい空間をデザインすることだけでなく、既存の空間のどこをリ・デザインし、どこを残すのかという、メリハリを効かせるデザインをすることも、今こそ時代にあった、求められる仕事だと感じています。

リフォームを考えていらっしゃる方は、ネガティブな自分の考えだけで施工業者に直接依頼されるよりも、一度、誰か信頼のおけるデザイナーに相談されてはいかがでしょうか。
相性が合い、能力が十分引き出せれば、決して無駄な出費にはならないと思います。
どうせなら、アイデアの詰まった、満足のいく空間に住むため、または営業するためにポジティブなリフォームの選択をお薦めします。




                                    杉木源三

百見は一試にしかず

110208-1.jpg私は伝統文化、伝統工芸など、伝統に関するものを嫌っているわけでも、敵対しているわけでもなく、むしろ、現代の生活にそれらを反映したいと考えている者であることを前置きして、本題に入りたいと思います。

伝統へのアプローチには、大きく二通りの方法があると思います。
ひとつは今までよく行われている、伝統文化や工芸品を現代の人々を啓蒙して、現代に伝え、残す方法です。
茶道、華道等々、道のつくものの理解を深め、それらに付随する工芸品をも含め、現代に根付かせようとするアプローチです。
しかしこの方法は、現代の生活スタイルからはかけ離れ、高い壁があるように思います。
京都のように、身近にあるところではアプローチしやすいですが、そうでなければ、遠い世界のものにみえるでしょう。

そこで二つ目として、現代の生活スタイルから、伝統へのアプローチを考えてみてはどうでしょうか。
それはどういうことかと言うと、茶道、華道と難しいことをいわなくても、現代の生活ではお茶も飲み、花も飾っています。
その中にライフスタイルに合った方法で、伝統を取り入れていくアプローチです。

なぜ二つ目のアプローチを考えるかというと、たとえば、私の事務所の横の路地を入ったところに、レンタル着物屋さんがあるのです。
平日でも何人もの若い女性たちや、カップルが来ています。観光シーズンになると、朝から行列ができていることもあります。
そして、着付からヘアスタイルまで整えてもらった若者たちが表通りへでてきますが、全員が満面の笑みなのです。
本当にうれしそうに、それぞれの目的地を目指して、楽しそうに出かけていきます。
このような方法で着物と出会った人の中から、一人でも二人でも着物が好きになり、興味をもって、本格的に着物を着るようになると、着物が現代に生きてくることとなります。

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また、いつもお仕事をさせていただいている、宇治のお茶製造会社が、毎年工場見学を催されていて、そのとき、作法のことは言わずに抹茶を点てる体験をしてもらっているそうです。
女子高生など大喜びで、茶筅を生まれて初めて持ち、点てたお抹茶をおいしそうに飲み、そのことにより、大変お茶の世界に興味をしめすようです。
茶室の中に入って、運ばれてきた抹茶を飲むだけでも、その空間体験は日本人の血を蘇らせるようです。
このようにして、一人でも二人でも、本格的にお茶の道を目指す人がでてくれば、お茶の文化が現代に受け継がれることになるのです。

二つ目の方法には、伝統側の立場からは異論があるかと思いますが、一般の生活スタイルと伝統との距離はかなりあります。
片側からのアプローチでは、なかなか結びつきません。
流行でもブームでも良いのですが、現代側でまず体験させて、知らず知らずのうちに、日本人のDNAにうったえかける機会を多くしていくアプローチも大切なことだと考えています。

"百見は一試にしかず"

いろいろな分野でムーブメントを起こしたいものです。


                                    杉木源三


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